人事戦略インタビュー ~DX人材の育成に向けて~

Q:経営戦略における「人材」の位置づけについて教えてください

当社のパーパス「人と知と技術で、可能性に満ちた“余白”を、ともに。」にあるように、当社では「人」「人材」を一番最初に来る大切な資本=人的資本と考えています。統合報告書にある「価値創造モデル」で言えば、人的資本はその他の知的資本や財務資本などと並んでインプットとなり、当社の事業活動を通じて、お客さまや社会、株主や投資家のみなさま、そして従業員自身といったステークホルダーの方々にアウトカムとして価値を創り出し、届けています。
向き合い、築き、つなぎ、挑み、楽しみ、支援し、やり抜くのが当社の人材です。それぞれが高度な専門性を有するプロフェッショナルであり、挑戦する文化とチームワークを大切にする風土、そして個の専門性を高める人材育成が人材のパフォーマンスを最大化します。「人」たちがすべての価値の源泉となり、当社の今までとこれからを支えていると考えています。
人的資本を高める取り組みとして、第6次中期経営計画では前中計の倍となる投資を行い、成長の源である人材のパフォーマンスやエンゲージメントを高める施策を推進しています。

Q:お客さまや自社のDXを達成するには、どのような人材が必要とお考えでしょうか?

当社では新たな価値を企画または実現・実装できる専門性を持った高度DX人材と、日常の業務の中からDXのアイデアを創出できるDXリテラシーの高い人材が必要と考えています。
DXのためのアイデアは数が重要なので、DXリテラシーの高い人材は人数が多ければ多いほどよいと考えています。また、DX分野は技術革新が激しく、スキルだけでなくベースとなるマインドや行動特性も重要と考えています。
当社では相手と「ともに」成長することを喜べることを全社員共通の価値観にしています。また、行動面では、自律的に社内外に働きかけられることが重要と捉えています。これらの基本的なマインド・行動特性を持った人材がDXの達成に必要と考えており、社員それぞれが多様なプロ人材として業種・業界・技術・業務など自らの得意技としている専門性をかけあわせたDXこそ、当社らしい人を起点としたDXだと考えています。

Q:「プロ人材」の育成のために、行っている制度や育成機会について教えてください

当社では2つの認定制度を実施しています。
1つは高度スペシャリスト認定制度(TCP)です。目指すスペシャリスト人材像を14モデルに明確化し、年齢・性別・等級に関係なくスペシャリストを目指すことを奨励しています。この人材像のうち4つを高度DX人材としています。
2つ目はDXアソシエイト認定です。DXを推進するための基本的なマインド、知識、経験を有する人材を評価・判定し、認定しています。DXアソシエイトは日常のDXの種を拾い上げ、高度DX人材と連携して実現をはかる存在になると考えています。DXアソシエイト認定のプロセスの中では「DX検定」により知識水準を評価しています。
今期、DXをより身近な活動にしていくためにDX検定を全執行役員および全管理職に奨励し、受検費用を会社負担としました。
また最近では、越境学習にも力を入れています。自律的に社内外に働きかけながら越境した先の方々と「ともに」成長することができる機会を提供しています。越境先で様々な課題解決を行うプロセスの中でDXをリアルに考える機会となり、日常では得られない経験・ノウハウを社内に取り入れています。

Q:今後の展望を教えてください。

当社では創業100周年を迎える2032年に向けた長期ビジョンとして「Growth Navigator」(成長をナビゲートし、ともに創りあげる集団)というありたい姿を掲げています。
「新たな価値を創造する」「多様なお客さまとの繋がりを生み出す」「成長を先導し続ける」という3つの活動軸も設けました。ただ、これを本気で実現していくためには、新サービスを創造したり、具体化できるビジネスアーキテクト・マーケター・デザイナー・CX/UX人材・コンサルタントといった多様なプロ人材が必須ですが、当社の過去の歴史を振り返ってみても、これらの人材を戦略的に採用したり育成してきたわけではありません。逆に言えばチャンスであり、伸びしろとも言えます。
成長戦略に必要なプロ人材の人数が増えていくこと、能力が向上していくことは、従来の仕事のやり方のままで「ただ待っている」だけでは期待できません。今後、各プロ人材の定義、充足率などをモニタリングしながら採用と育成を進めていき、組織能力を強化していきます。